研究概要 |
本年度は,腸内代謝活性の無菌マウスへの移植という関点から,ブタフローラマウスでの盲腸内短鎖脂肪酸(VFA)と腐敗産物の生成について検討した。その結果、ブタ糞便中とほぼ同じ程度のVFAがブタフローラマウスでも検出され,生後20日齢のブタの糞便と60日齢のブタの糞便を投与されたブタフローラマウスでは20日齢のブタ糞便を投与された群でより投与糞便に近い状態であった。しかし,ブタ糞便中で少量ながら検出されたイソ体がブタフローラマウスではほとんど検出されなかった。 一方,ブタ糞便中では腸内腐敗産物であるパラクレゾール,スカトールと少量のインドールが検出され,20日齢では60日齢の約3倍量が検出された。しかし,これらを投与されたブタフローラマウスでは腐敗産物は全く検出されなかった。 次に,ヒトの腸内から分離した株のNitroreductase,B-glucosidase,B-glucronidaseの活性をin vitroで測定したところ,株ごとにどの酵素が活性があるかというパターンが異なり,このうちB-glucosidase活性のみが+となった。Clostridium ramosumとB-glucronidaseが+でB-glucosidase-のC・clostridiformeをそれぞれ無菌マウスに投与して,その盲腸内での活性を比較したところ,C・ramosum投与群ではB-glucosidase活性のみが無菌マウスに比べて上昇し、C.clostridiforme投与群ではB-glucronidase活性が上昇し,B-glucosidaseは無菌マウスに比べてわずかに高い値を示すにとどまった。ヒトの糞便そのものを投与された無菌マウスではヒト糞便中に近い値の活性がヒトフローラマウスでもみられた。
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