研究概要 |
生体用金属材料として最も注目されている純チタンは耐食性に優れているが,人工関節など大きな荷重の加わる部分では強度不足のため,合金化が不可欠である.また,チタンには耐摩耗性などの点でも問題があり,材料の消耗だけでなく,摩耗粉の生体への影響も懸念されている. そこで,本研究では,チタン合金の根本的な問題である耐摩耗性を高め,あわせてその他の機械的性質も改良し,より機能性を高めたチタン合金を開発することを目的とした.この開発に当っては,材料学的な研究と平行して,生物学的な安全性についても検討する.とくに摩耗粉の生体への影響について詳しく調査する. (1)チタン合金の摩耗試験:前年度に引き続き,開発したチタン合金の耐摩耗性について評価した. (2)チタン合金の生物学的安全性試験:得られた合金の摩耗粉の埋植試験を行うことにより,生体への影響について検討した. (3)チタン合金の腐食疲労試験:前年度に引き続き,チタン合金の腐食疲労試験を行った. (4)チタン合金の熱処理による機械的性質の改良:熱処理条件は多くの要因が影響するため,引き続き熱処理条件の検討を行った. (5)人工関節の試作:開発されたチタン合金を用いて簡単な人工関節を作製し,実際の形状に仕上がった場合の各種の検討を行った.
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