研究課題/領域番号 |
05558107
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
浜中 人士 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (10013955)
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研究分担者 |
小林 郁夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (40242268)
米山 隆之 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (00220773)
中村 晃忠 国立衛生試験所, 療品部, 部長 (50172391)
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キーワード | チタン合金 / 生体適合性 / 力学的性質 |
研究概要 |
生体適合性にすぐれたチタンを開発するために、この研究では合金開発に当たり、まずチタンと同族の元素であり、チタン同様生体適合性の高いジルコニウムとの2元合金について検討した.その結果互いの元素が30%を超えると力学的性質は、それぞれが単独の場合は300〜350MPaであるのに比較して、900〜950MPaと2倍以上上昇することが判った.チタンとジルコニウムの2元合金を基として第3元素を加えた合金は、2元合金を超える強さを示すことが見出され、さらにすぐれた生体用合金が開発される可能性が示唆された. 浸漬試験による溶出イオンの濃度の測定を行った結果、チタンとジルコニウムの2元合金については、単独の場合よりイオンの溶出量はかなり減少することが判った.生体適合性を調べるために、6週齢のF344系ラットの側背部皮下に8ヶ月間埋植し、組織反応と感作性について試験を行った.その結果チタン-ジルコニウム合金はチタンよりも生体適合性に優れているという結果が得られた. また、Ti-6A1-7Nb合金の歯科鋳造の可能性についても検討した.現在Ti-6A1-4V合金が使用されているが鋳造性が悪いため、精密鋳造可能なチタン合金の開発が望まれている.Ti-6A1-7Nb合金は、現在のチタン用鋳造機で十分精密鋳造が可能であり、しかも鋳造体の引張り強さは933MPaと、Ti-6A1-4Vの場合の975MPaに比較してやや低いものの十分な強度を示した.また、伸びはTi-6A1-7Nb合金は7%とTi-6A1-4Vの5%よりも大きく、しかもばらつきが少ないため信頼性も高いものと思われる.Ti-6A1-7Nb合金は歯科用材料として十分実用化できることが判明した. その他の生体用チタン合金の可能性として、TiA1基合金についても検討した.TiA1基合金は金属間化合物であるが耐熱材料として注目されている材料である.これにNbを添加すると強度が増し、生体材料としての可能性があることが判った.
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