研究課題/領域番号 |
05558111
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前谷 俊三 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (10115933)
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研究分担者 |
高沢 弘明 グンゼ(株), 京都研究所・ディカル研究室, 室長
小野寺 久 京都大学, 医学部, 助手 (50240825)
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50211371)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 重症腹膜炎 / 人工腹壁 / 腹腔開放療法 / ポリプロピレンメッシュ / コラーゲン固定メッシュ / 皮膚上皮の潜り込み / メッシュ排除試験 / アテローム様変化 |
研究概要 |
本研究の目的は重症腹膜炎の治療法として、表面にコラーゲンを固定したポリプロピレンメッシュを腹壁開放創に逢着して、急性期には自然排液を促し、かつ定期的腹腔洗浄を行うための門戸として利用、腹膜炎消退後はそのまま腹壁内で器質化し,永久的人工腹壁として機能する素材を開発することである。その研究成果は以下の通りである。 1.ラットの腹腔にエンドトキシンを注入した場合、メッシュの逢着群は、腹壁単純閉鎖群やチューブドレナージ群と比べて血中のエンドトキシンの濃度も、TNFの活性も有意に低く、排液効果は優れていた。 2.ポリプロピレンメッシュは感染下でも創治癒障害や膿瘍形成は少なかった。しかし時と共に周囲の皮膚上皮がその下に潜り込み、メッシュを排除しようとする異物反応がみられ、3例の臨床応用においてもこれが確かめられた。メッシュの表面にコラーゲンを結合した群では、この異物反応や炎症反応は少ない傾向がみられ、表面が完全に皮膚で被われた例もあった。 3.異物反応を更に厳密に比較するために、家兎の背部皮膚に左右対照に円形の穴を開け、一方はコラーゲン固定メッシュを、反対側は無処置のメッシュをそれぞれの穴底に逢着し、開放創での治癒経過を観察した。その結果は上とほぼ同様で、無処置群ではアテローム様物質の貯留が多くみられた。しかし、コラーゲン固定の有無に拘らず、大半のメッシュは開放創から排除された。 以上より、腹膜炎の急性期には排液門戸として働き、その後は永久的人工腹壁としての役割を果たす理想的な人工材料は開発できなかった。ただここで開発したメッシュ排除試験は、今後より優れた材料の発見に有用と考えられた。
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