研究課題/領域番号 |
05558112
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 孝志 京都大学, 医学部, 教授 (10201675)
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研究分担者 |
吉原 聡 日本電気硝子(株), 生体材料開発室, 研究員
谷 嘉明 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (90026881)
小久保 正 京都大学, 工学部, 教授 (30027049)
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キーワード | 生体活性 / 骨セメント / 結晶化ガラス / bis-GMA / TEG-GMA / PMMA / 人工股関 / シリカフィラー |
研究概要 |
本年度の研究ではこれまで我々が開発してきた生体活性骨セメントが人工関節の固定に役立つかを犬用人工関節を用いて調べ、ヒト人工関節に使用可能な、臨床に敵した操作性が得られるように最終組成を決定する事を目的に行った。ロッド状に作成したセメントをラット皮下に埋入し、経時的に取り出し強度変化を検索した。その結果A-Wガラスセラミックスの原ガラス粉末のみでは劣化が見られ1年半で、圧縮強度で50%に、曲げ強度では60%の強度に低下することが判明した。その改善としてA-Wガラスセラミックス粉末にシリカフィラーを添加した組成に変更すると劣化を防げる事が確認された。さらに臨床で用いるには十分な操作性と生体活性を得るとを考慮して、最終的には無機成分としてA-Wガラスセラミックス粉末73%、二酸化珪素27%、有機成分としてBis-GMA49.7%,TEG-GMA49.7%BPO.3%、DMPT.3%の組み合わせを選択した。また手で混ぜたり、インジェクションを使用したり違った操作を考慮して有機/無機比率を85/15から75/25と変化させた。また、大腿骨部を金属で置換しその固定にセメントを用いて、プロテ-シスの固着性を見た実験ではPMMA骨セメントではセメントと骨の間に軟組織の介在があるのに対して、本セメントでは骨とのダイレクトな接合が身られた。打ち抜き試験では、セメントが海綿骨とアンカリング効果で固着した部分では2つのセメントで差が見られなかったが、骨皮質と接合する部分では本セメントが経時的に固着力が増大するのに対して、PMMA骨セメントでは低下し、固着強度に統計学的にも有意な違いがみとめられた。この違いは本セメントが骨と結合する性質によると考えられた。さらに犬人工関節モデルでは現在6カ月例までのデーターが得られているが、十分な固着性があり、人工関節に応用が十分あるものと考えられた。
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