研究課題/領域番号 |
05558115
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 宣明 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50019634)
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研究分担者 |
松村 英生 株式会社エイコム, 開発部, 部長
大村 裕 日本臓器製薬(株), 生物活性科学研究所, 名誉顧問 (30019517)
林 良茂 金沢大学, 工学部, 教授 (60019750)
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キーワード | バイオセンサ / 水晶振動子 / 免疫センサ / 固定化抗体 / 抗原・抗体反応 / ヒトIgG / 抗ヒトIgG / マイクロバランス |
研究概要 |
本研究は、複数の超微小液性情報変化を同時に解析できる多機能バイオセンサを開発することにある。本年度は水晶振動子マイクロバランスを利用した免疫センサの開発に関する研究を行い、以下の結果を得た。 (1)電極質量の増加が水晶振動子の基本振動数を変化させるか否かを検討した。このため、所定濃度のNaCl水溶液をサンプル液として電極表面に既知量の蒸発残留物を形成させ、その残留物質量と基本振動数の変化量の関係を調べた。この結果、1.0ngの質量変化に対して1.0Hzの振動数変化が得られることを確認した。 (2)水晶振動子電極表面への抗体固定化について検討した。本研究では二官能性試薬グルタルアルデヒドを抗体と反応させ、シッフ塩基を形成させる共有結合法を用いた。すなわち、水晶振動子の金電極表面にチラミンを用いてアミノ基を導入する。このアミノ基にグルタルアルデヒドを反応させ、アミノ基とアルデヒド基の間にシッフ塩基を形成させる。この電極に抗体(ヤギ抗ヒトIgG)を反応させると未反応のアルデヒド基と抗体のアミノ基との間にもシッフ塩基が形成されるので、抗体は効果的かつ安定に電極上に固定化することができる。 (3)各種濃度のヒトIgG溶液(10,30,50μg/ml)投与に対する免疫センサ応答の経時的変化を調べた。IgG投与によってきわめてゆっくりとした時間変化で振動数が変化し、IgG 50μg/ml投与の場合約20分後に最大振動数変化200Hzに達した。また反応の立ち上がり速度もIgG濃度に依存して速くなる。一方、ウシ血清アルブミン(10μg/ml)を投与しても、IgG投与時に観察されたような顕著な振動数変化が認められないことから、IgG溶液に対する免疫センサ応答はIgGと抗IgGの特異的結合によるものであり、非特異的タンパク結合などによるものではない。
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