研究課題/領域番号 |
05558117
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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研究分担者 |
千秋 和久 テルモ(株), 開発研究部, 研究員
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
野尻 知里 テルモ(株), 医科学研究所, 主任研究員
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キーワード | ミクロドメイン構造 / ブロックコポリマー / 細小人工血管 / 抗血栓性材料 / 血小板活性化阻害 / 細胞内カルシウム / タンパク質吸着層 |
研究概要 |
200Å程度のラメラ幅を有するミクロドメイン構造を形成するHEMA-St-HAMAブロック共重合体(組成、HEMA:St=1:1)をダクロングラフト(内径3mm,長さ7cm)にポリウレタンでコートした表面上に再コートして人工血管を作製した。この人工血管を犬の頚動脈に端々で吻合して埋め込んだ。1〜6カ月後における人工血管表面を電子顕微鏡を用いて詳細に検討した結果、ほぼ単分子層のタンパク質でおおわれ、血栓はまったく形成されずブロックコポリマーも剥離、分解することなく長期に安定であることが確認された。すなわち、血液と材料表面との界面を単分子層のタンパク質吸着層が安定化させることを示しており、この新事実は、従来、フィブリンネットが形成された表面上に内皮細胞が増殖して偽内膜を形成する人工血管とまったく異なるメカニズムによってin vivoで人工血管が安定に開存していることを示している。これと同時に、このミクロドメイン表面と血小板が接触した際の細胞内カルシウム変化を蛍光色素Fra2を用いてin vitroで調べた。これにより、ミクロドメイン表面上では血小板の活性化が長期間にわたって極度に阻害されていることが明らかにされin vivoと良好な相関性が示された。この知見をさらに推進させて新しいタイプの細小径の人工血管を開発する。 次年度は1年レベルの長期開存性と同時にミクロドメインと血小板との相互作用の本性を追求する。
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