研究課題/領域番号 |
05559001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
水野 守道 北海道大学, 歯学部, 助手 (10125354)
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研究分担者 |
田崎 まり子 (株)日本遺伝子工学, 主任研究員
渡辺 隆之 (株)北海道総合技術研究所, 主任研究員
重信 恵一 北海道大学, 医学部, 助手 (30250450)
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
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キーワード | 骨芽細胞 / コラーゲン / マトリックス / 細胞分化 / 骨髄細胞 |
研究概要 |
本年度は骨芽細胞/コラーゲンマトリックス複合体を小動物(ラット等)へ移植し、骨が形成されるか否かを検討した。骨髄細胞はコラーゲンマトリックス上で効率よく骨芽細胞へ分化する。細胞播種後、一カ月後にはディシュ上に多数の石灰化結節が認められた。このような状態のマトリックスを適当な大きなに無菌条件下で細切し、さらにヌードマウスの背部皮下へ無菌的に移植した。マウスは無菌条件下で飼育し、滅菌した食料や水を自由に与えた。一カ月飼育したところ、細胞/コラーゲンマトリックス複合体を移植した部位には皮膚の表面から硬結物が触れられた。このものは肉眼的に白色を呈し、骨様の外観をしていた。さらに摘出したものは非常に固く、そのままでは細片化するのも難しいほどであった。これを定法に従い脱灰し、切片を作製し、ヘマトキシレン-エオジン染色を施した。その結果、摘出物の内部には骨が認められ、骨形成のおきたことが明らかとなった。以上の結果は骨髄細胞をコラーゲンマトリックス上で培養すると、骨芽細胞へ分化し、さらにその骨芽細胞は、生体内で骨を形成したことを示している。但し以上の結果は若い動物から採取した骨髄細胞を用いた場合であり、老齢化した動物由来の骨髄細胞は、コラーゲンマトリックスにほとんど反応せず、大部分の細胞は骨芽細胞へ分化することがなかった。このことは我々が行った方法では、現在のところ、老齢者由来の骨髄細胞には適用できないことを意味している。来年度はこのような細胞でも、十分に骨芽細胞へ分化し、生体内で骨が形成される条件を検討する予定である。我々はこれまでコラーゲンの効果はTGFβの共存により促進されることを見出している。このことはコラーゲンマトリックスに対する応答性が低下している場合(例えば、高齢者から採取した骨髄細胞を用いた場合)、TGFβにより応答性を回復させる可能性があることを示している。さらに他の成長因子等も検討し、高齢者由来の骨髄細胞でも十分骨が形成しえる条件を検討する予定である。
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