研究課題/領域番号 |
05559001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
水野 守道 北海道大学, 歯学部, 助手 (10125354)
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研究分担者 |
鈴木 克憲 北海道大学, 医学部, 助手 (60241329)
田崎 まり子 (株)サンギ札幌研究所, 主任研究員
渡辺 隆之 (株)サンギ札幌研究所, 室長
久保木 芳憲 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
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キーワード | 骨芽細胞 / コラーゲン / マトリックス / 細胞分化 / 骨髄細胞 |
研究概要 |
本年度はまずコラーゲンマトリックス-骨髄細胞複合体により生体内で骨が誘導されるか否かを検討した。骨髄細胞をコラーゲンマトリックス上で培養すると、細胞数が減少し、ついで増殖してくる。このようにして増殖してきた細胞は、通常の培養条件下の細胞と異なり多角形となる。さらに培養を持続すると細胞は多層化し、結節も形成される。このような段階の細胞は高いアルカリフォスファターゼ活性を示し、また骨芽細胞の形質であるオステカルシンも産生し、骨芽細胞に分化したことは明らかである。次にこのような段階の細胞-マトリックス複合体をヌードマウスへ埋殖した。埋殖後1週から2週目ではコラーゲンマトリックス間に線維性組織が形成される。埋殖後3週目になると移植したコラーゲンマトリックスは吸収され、代わりに骨組織が形成された。4週目になると骨梁間には骨髄も形成された。このことは生体内の骨組織と同様のものが形成されたことを示している。また実験期間を通じ、軟骨は認められず、骨髄細胞-マトリックス複合体による骨形成は直接骨化の過程によることが明かとなった。骨が形成されるためには骨髄細胞は成熟した骨芽細胞となっていなければならず、骨髄細胞の状態、前骨芽細胞の段階では骨を誘導しない。 これまでの実験より申請者らは本来骨形成とは無関係な骨髄細胞とコラーゲンマトリックスにより骨を生体内に形成させることができた。このような現象を引きおこすための細胞やマトリックスの要件については不明な点が残されているので、来年度以降もこの点を明らかにしてゆきたい。そして将来的には新しい骨欠損部の修復法となるよう研究を進める予定である。
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