研究課題
試験研究(B)
有機塩素化合物による地下水汚染問題への対応は「汚染現況調査」、「汚染機構解明調査」、「汚染浄化対策」のいずれの段階でも、汚染源と汚染範囲を特定することが必要であり、その検知技術の向上が望まれている。本研究はこれを、(1)これまでに考案・開発されてきた各種検知技術の比較ならびに現場への適用性の検討、(2)その測定結果の解析・解釈上の阻害要因の追跡と解明、の2つの大きな課題に分けて進めた。平成7年度の中間報告では上述の(1)の視点のもとに、多数の汚染事例を地形・地質・地下水条件、汚染経過等を考慮してその類型化を行った。さらに、これまでに考案・開発されている汚染検知技術を実際の汚染現場に適用して、その比較検討を行った。平成8年度の最終報告では上述の(2)の視点のもとに、TCE原液の降雨溶出特性、ガス挙動に及ぼす地下水面変動の影響、大型ライシメーターを用いた不飽和帯のTCE挙動、不飽和帯におけるTCE拡散係数測定に関する実験の結果を報告している。また関連事項として、土壌地下水汚染の動向と対策の現状、インターネットからの地下水汚染情報、を加えた。前者は先に述べたように、現在の施策が「汚染浄化対策」に向けられていることから、この視点でのまとめも重要と考えたからである。後者は主として内外の汚染事例を早く入手することが、わが国における対策に大きく役にたつと考えたからである。地下水汚染源の大半は不飽和帯にあり、その存在状況、挙動が重要であるにもかかわらず、これまであまり深く研究されていなかった。検知技術の向上のためには、現象の詳細な把握と解析技術の蓄積が重要である。本試験研究で明らかにした、汚染物質の気相-液相を考慮した地層中での存在状況、カラム実験と現場での現象の隔たりを埋める大型ライシメーターを用いた物質挙動の追究は今後の大きな指針となると云える。
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