研究課題/領域番号 |
05559003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20126163)
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研究分担者 |
大橋 隆哉 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70183027)
村上 敏夫 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究系, 助教授 (60092350)
田代 信 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00251398)
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キーワード | 高電圧電源 / 科学衛星 / 真空中放電 / 宇宙環境 / 信頼性 |
研究概要 |
本研究の目的は、人工衛星への搭載を念頭に置き、真空中や希薄なプラズマ中で安定に作動する高電圧電源を開発することである。我々はすでにX線天文衛星ASTRO-DのGIS(位置検出型蛍光比例計数管)装置のため-8kV級の高電圧電源を開発しており、その動作を追跡研究することは、本研究の重要な出発点となる。1993年2月20日に打ち上げられた同衛星は「あすか」と命名された。3月にはGISの4台の高圧が無事に投入されて正常な動作を開始し、優れた観測デ-タが得られつつある。本年度に入ってからは、次の2点を軸に研究活動が行なわれ、初期の目的が達成されつつある。 1。「あすか」の観測デ-タを用い、高圧電源を含めたGISの動作が詳しく追跡・解析されている。その結果は、次のようにすべて満足できるものである。(1)打ち上げの振動で高圧電源に損傷が生じた兆候はない。(2)ほぼ1年に及ぶGISの運用の間に、高電圧の放電はまったく発生していない。(3)衛星が放射線異常帯などを通過する際には、GISの放射線検出器を保護するため高電圧が自動的にオンオフされるが、その場合でも問題は生じていない。(4)電圧モニタおよび電流モニタの値は極めて安定している。(5)GISのゲインから判断して、電離層プラズマの影響などで高圧が不安定になる兆候は見られない。 2。GISの高圧電源は、明星電気(株)などと協力して開発したものである。同装置の正常な動作が確認されたので、本年度は同社の協力を得てこの開発過程を見直し、無ポッティングの耐振動プリント基板の設計指針、コンフォ-マルコ-ティグの手順、放電の影響を最小限にするための電気設計、プラズマ流入防止などのノウハウを取りまとめつつある。
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