人工衛星搭載用高電圧電源の開発

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05559003
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 牧島 一夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20126163)
• 研究分担者: 大橋 隆哉 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70183027) ; 村上 敏夫 東京大学, 宇宙科学研究所・宇宙圏研究系, 助教授 (60092350) ; 田代 信 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00251398)
• キーワード: 高電圧電源 / 科学衛星 / 真空中放電 / 宇宙環境 / 信頼性

研究概要

本研究の目的は、人口衛星への搭載を念頭に置き、真空中や希薄なプラズマ中で安定に作動する高電圧電源を開発することである。とくに、1993年2月20日に打ち上げられたX線天文衛星「あすか」のGIS(位置検出型蛍光比例計数管)装置には、私たちの開発した-8kV級の高電圧電源が使用されており、その動作を追跡研究することは、本研究の重要な基盤となる。そこで本年度は、次の2点を軸に研究活動が行なわれた。
1。GIS高圧電源の追跡調査。(1)高圧電源を含め、GISが軌道上で順調に動作を続けていることが立証された。(2)地上に残されたGIS予備品を用い、その高圧電源の特性が経年変化を示していないことが明らかになった。(3)これらを踏まえてGIS高圧電源の製造工程を改めてレビューし、その要点の取りまとめを行なった。
2。明星電気(株)の協力をえて、GISの高圧電源に劣らぬ信頼性をもちつつ、より軽量かつ小型な新しい高圧電源の開発を進めてきた。具体的には、(1)GIS高圧電源の設計の長所を再確認し、(2)実験室実験を通じて高真空が極めて良い絶縁性をもつことを確認し、(3)中途半端な真空度における高周波放電および直流放電の機構を調べ、(4)新たな回路設計に基づいて、軽量かつ小型な新しい高圧電源の試作を行なった。この試作品はすでに入手ずみであり、来年度はその評価試験を行なうこととなろう。

研究成果

• [文献書誌] 大橋隆哉: "「あすか」に搭載された撮像型蛍光比例計数管" 日本物理学会誌. 49. 287-293 (1994)
• [文献書誌] Kohmura,Y.: "Detection of X-rays from SN 1993 J with ASCA" Publ.Astron.Soc.Japan,Letters. 46. L157-L161 (1994)
• [文献書誌] Matsushita,K.: "Detections of Hard X-ray Emissions from Early-Type Galaxies" Astrophys.Journal,Letters. 436. L41-L46 (1994)
• [文献書誌] Fukazawa,Y.: "Metal Concentration and X-ray Cool Spectral Component of the Centaurus Cluster" Publ.Astron.Soc.Japan,Letters. 46. L55-L58 (1994)
• [文献書誌] Makishima,K.: "Role of Magnetzed Plasmas in Production of Cosmic X-rays" Proc.Oji Seminar on Elementary Processes in Dense Plasmas. 1. 47-59 (1995)
• [文献書誌] Makishima,K.: "X-ray(ASCA)Measurements of Elliptical Galaxies" Proc.5th Annual October Astrophysics Conference,Maryland. 1(印刷中). (1995)