研究概要 |
平成5年度の研究で,多数の柱状BGOシンチレータを取り付けた位置敏感光電子増倍管を完成させたが,本年度はそれを用いて,陽電子消滅2光子2次元角相関装置の作製を開始した。この検出器では,γ線がどのBGO柱に入射したかを知る必要がある。まず,光電子増倍管からの出力を,CAMACのADCで分析し,その出力データをパソコンに取り込むシステムを完成した。実際にγ線を各シンチレータに入射させ,入射位置と出力の関係を調べた。その結果を参照して,位置敏感光電子増倍管から出力があったときに,γ線がどのシンチレータに入射したかを,取り込んだデータから計算するプログラムを完成した。 2次元角相関装置では,そのγ線位置検出器を載せて機械的に垂直方向,および水平方向にスキャンさせながら測定する。ただし,検出器は常に試料の方向を向いていなければならない。そのための機構を設計・作製して,設置した後,調整を行った。また,垂直・水平それぞれのスキャン機構を,パソコンで駆動して検出器の位置を制御するためのインターフェイス回路と,制御用コンピュータプログラムを作成した。 以上を用いて陽電子消滅2光子2次元角相関を測定するためには,複雑な検出効率補正が必要であるが,そのためのプログラムも作成した。弱い陽電子源を用いて位置分解の測定のテスト,および,角相関を測定したときの運動量分解能の測定を行った。
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