研究課題/領域番号 |
05559005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井野 正三 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70005867)
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研究分担者 |
霜越 文夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00013409)
長谷川 修司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00228446)
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キーワード | 反射高速電子回折(RHEED) / 表面電気伝導 / エピタクシー / 半導体表面 / 金属超薄膜 |
研究概要 |
本年度は、低温用反射高速電子回折(RHEED)・表面原子層物性測定のための試料ホルダーと各種の測定装置を作製し、これを既設の超高真空RHEED装置に取り付けた。この試料ホルダーは、Siの試料を清浄化する場合には、ヘリウム溜から切り放し1200℃に加熱することができる。Siの清浄化後Siの温度が室温になってからヘリウム溜に再び接触させてヘリウム温度近くまで冷却できる構造とした。また、RHEEDパターンの詳しい観察をするために、試料が電子線に直角な軸の周りに容易に回転できる構造とした。さらに、この試料ホルダーにより、表面の電気伝導の測定等も可能な構造とした。 この装置により、Si(111)表面上に金属を蒸着し種々の表面構造を形成させ、更にその上に種々の金属を蒸着した場合のエピタクシャル成長モードの研究を行った。Cu/Si(111)-7×7の場合には、室温の下地上ではRHEEDの強度振動は2つのピークしか現れなかったが、130Kの下地上では46個のピークが測定された。最初の5つのピークは不規則な周期である、6番目以後のピークは完全に周期的で、徐々に減衰した。Ag/Si(111)-7×7の場合もCu/Si(111)-7×7と同様な振舞いを示したが、最初の2つのピークは不規則で、3番目以後のピークは規則的であった。Ag/Si(111)-√<3>×√<3>-Agの場合には、下地の温度が室温及び160Kのいずれの場合にもRHEED強度振動は全く観察されなかった。 この様な実験結果から、Si(111)-7×7上のCuやAgは120K程度の低温になると、拡散距離が減少し、2次元的な核形成が起こることが実証された。またSi(111)-√<3>×√<3>-Ag構造上のAgは160Kにおいても拡散長がステップ幅よりも大きく2次元核形成が起こらないことが実証された。また、Si(111)-√<3>×√<3>-Ag構造上にAgやAuを吸着させたときの表面電気伝導の測定や解析も行った。
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