研究概要 |
走査型電子顕微鏡像の二次電子像とX線像の合成および分光した二次電子の重ね合わせにより二次電子画像をカラー表示するために,従来の走査型電子顕微鏡に以下のような改良を加え,その性能を調べた.1)二次電子の分光:従来の走査型電子顕微鏡では,試料から発生した二次電子は分光されることなくその量を検出器で計測している.今回の装置では,試料の上方にグリッドを挿入して,そこに電圧が掛けられるように改良した.この結果,グリッド電圧を変化させることにより検出器に入る二次電子の電圧の上限に制約が設けられるので,二次電子の分光が可能となる.改良した装置についてその性能を調べた結果,本研究にとって十分な精度で計測できることが判明した.2)X線像の多チャンネル同時転送:従来の分析電子顕微鏡では,X線検出器からの信号は1チャンネルしか電子顕微鏡のモニターに転送できなかった.これを最大4チャンネルまで同時に転送できるように改良した.これにより,二次電子像と2枚のX線像を同時に合成できる可能性が生まれた.改良したX線信号の転送装置の性能を調べた結果,今後の目的に十分な役割を果たし得ることが判明した.
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