研究概要 |
走査型電子顕微鏡像の二次電子像とX線像の合成および分光した二次電子の重ね合わせにより二次電子画像をカラー表示するために,従来の走査型電子顕微鏡を改良して,その性能を調べた結果,以下のことが判明した.1)同時に4チャンネルのX線像が走査型電子顕微鏡のレイトメイタ-を通して計算機へ送られる.また,二次電子量も同時に走査型電子顕微鏡から送られる.これらの信号を計算機のディスプレイ上でカラー合成することにより,同時に25種(=_5C_1+_5C_2+_5C_3=5+5・4/2+5・4・3/3/2)の画像を表示することができる.実際には,このうち単独X線像を4枚,3種のX線像を重ね合わせた像を4枚,単独二次電子像を1枚,二次電子と2種のX線像を重ね合わせた像を6枚,合計15枚を同時に表示できるようにした.2)二次電子の分光特性を簡易二次電子分光器により調べてところ,それが元素により明らかに異なることが判明した.これにより,二次電子を3バンドに分け,それぞれに赤,緑,青という光の3原色を割り当てて出力することにより,二次電子像のカラー表示が可能となる.現在,二次電子の分光特性と元素との関係を調べている.3)通常の電子顕微鏡では,電子線は試料上をアナログ的に走る.これに対し,今回のシステムでは,電子線は試料上をディジタルに走査する.このため,走査速度を高めると,画像にヒステリシスが現われることが判明した.したがって,現在のシステムでは,走査速度をあまり高めることはできない.
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