研究概要 |
高速RLGSスポットマッピング法は、restriction landmark genomic scannigの高速ゲノムスキャニング能を利用し、生物の多型をRLGSで検出した後、それを連鎖解析法に供する方法である。本研究では、RLGSスポットマッピング法によって任意の生物の全ゲノム遺伝地図を高速に作成する技術開発を目的とした。その目的達成のために、1)RLGSのspot-マーカーを用い遺伝的解析法により高速に全ゲノムの遺伝地図を作成する技術、2)より高速に目的遺伝子の近傍マーカーを得ることが重要であり、今回、これらの技術が完成した。RLGS Ver.1.8法をハムスターに応用した結果、シリアンハムスターのACN系とBIO14.6系の間のポリモルフィズムは3〜7%であったが、合計572個の多型マーカーを同定した。次にMap Managerによる連鎖解析を行い、34個のリンケージグループ(計1111.6cM)を含むgenetic linkage mapを完成させた。このうち、一つの連鎖群上のフランキングマーカー20.7cMの間に心筋症遺伝子(cm)をマップした。さらに、4つのフランキングマーカー(NaB265,NaB213,NdB212,Nab208)ののFISH分析によってcmが、chromosome9qa2.1-b1にあることを明らかにした。 以上のように、これまで遺伝的マーカーがほとんど得られていなかったシリアンハムスターにおける精密な全ゲノム遺伝地図の作成および心筋症遺伝子のマッピングにより、ポジショナルクローニングを効率化する全生物に応用可能な高速RLGSゲノムマッピング技術が確立した。このRLGSを用いた遺伝地図の作成法はきわめて有効であり、現在、アスパラガス等の植物にも応用している。
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