研究課題
試験研究(B)
我々が提唱しているBrain Functional NMR Spectroscopyを開発するために、我が国において臨床応用可能な最高静磁場強度を有する2テスラ高磁場ヒト全身用NMR装置の抜本的な改造・改良を行った。このNMR装置を用いてヒト脳の精神(神経)活動に伴う脳内の物質変化や生化学変化を脳内の部位別に無侵襲・非破壊的にしかも高い時間・空間分解能で計測できるNMR技術-Brain Functional Spectroscopy法-を開発した。傾斜磁場(静磁場勾配)のスイッチングにより周辺の導体に発生する渦電流の影響を抑制する方法を、ハード/ソフトウェア両面から開発・改良を加えて、ヒト脳^1HNMR局在化スペクトル測定法を改良・高性能化した。2テスラ・ヒト頭部用^1Hバ-ド・ケージ型quadrature送受信コイルを試作し、線形送受信を行う在来型コイルと比較して信号検出感度を30〜60%向上させた。局在化^1H同核種スペクトル編集法(多量子コヒーレンス法)をグラジェント技術を応用して開発し、従来のパルス系列を適用しては、他の代謝物質のシグナルにうづもれて分離測定が困難であったヒト脳内の微量な乳酸やグルタミン酸、GABA等の代謝物質のシグナルを選択的に検出することに成功した。また、多量子コヒーレンス・スペクトル編集法を組み込んだスペクトロスコピック・イメージング法を開発し、特定の代謝物質を選択的に可視化、画像化するNMR画像法を開発した。さらに、高速データ転送能力・処理能力・表示能力をもつワークステーション及び高機能パーソナルコンピュータからなる多次元画像処理ネットワークを構築し、NMRパラメータを空間情報に従って多次元的に再構築し、脳機能・代謝に関する分子レベルの情報を可視化、画像化するプログラムを開発するための技術的基盤を確立した。
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