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1993 年度 実績報告書

初期現象学研究(ブレンターノ学派とフッサール)

研究課題

研究課題/領域番号 05610002
研究機関東京大学

研究代表者

村田 純一  東京大学, 教養学部, 助教授 (40134407)

キーワード現象学 / ブレンターノ / フッサール / 独墺学派 / ゲシュタルト理論 / 知覚 / 心の哲学
研究概要

本年度は、まず第一に、現象学の源流を遡り、ブレンターノ哲学の射程を主に志向性と意識という現象学の基本概念に関して明らかにする作業を行った。そしてそのブレンターノの観点との対比でフッサールの独創性がどこにあるかを取り出し、論文にまとめた(「現象学の成立-ブレンターノとフッサール」)。ブレンターノは、志向性に関して、しばしば解釈されているのとは違って、作用と対象の明確な区別によって現象学の「超越」に対応する現象を視野に入れていたにもかかわらず、フッサールのように「意味」の特有性を捉え切れなかったために、志向性に関して結局内在的視点を抜け切れなかった。また、「意識」に関してもブレンターノは、伝統的意識観の限界内にとどまったのに対して、フッサールは「体験し」「生きる」という契機を見いだすことによって新たな意識観への方向を切り開いた。第二に、論文「形の知覚-ゲシュタルトを巡る心理学と哲学」では、エーレンフェルスからフッサールを通じて、グラーツ学派、ベルリン学派へ至る流れのゲシュタルト理論の基本的な論点を整理することを行った。そこで明らかになったのは、ゲシュタルト概念には、感覚の次元を越えた「意味」にその基本を見いだそうとする方向(グラーツ学派が主)と感覚の次元に「体制化」の原理を見いだそうとする方向(ベルリン学派が主)の二つが絡まりあっており、フッサールやメルロ=ポンティによるゲシュタルト現象の位置付けは、それら両方向を現象学的観点から統合しようとした試みと見ることができるということであった。以上のように本年度は、ブレンターノとの対比でフッサール現象学の特有性を明らかにすること、及びゲシュタルト概念に関するブレンターノ学派内の知的地図を構成することに関して一定の成果を上げることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 村田純一: "形の知覚-ゲシュタルトをめぐる心理学と哲学" 岩波講座『現代思想』第1巻. 237-287 (1993)

  • [文献書誌] 村田純一: "現象学の成立-ブレンターノとフッサール" 岩波講座『現代思想』第6巻. 3-43 (1993)

  • [文献書誌] 村田純一 他8名共著: "プラクシスの現象学" 世界書院, 301 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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