研究概要 |
本研究では,平成5年度から平成7年度の3年間にわたって研究を遂行する予定で開始され,平成5年度には「自我論と情念論」の諸問題を「哲学史的観点」から,平成6年度には「科学的観点」から,平成7年度には「哲学的観点」から追求することを試みた。 平成7年度には,第一に,カントやドイツ観念論,とりわけフィヒテの自我論,意欲論,感情論をさらに掘り下げることを企てた。その若干の成果は,論文(特にフィヒテ関係のそれ)に纏めることができたが,しかし,さらに本格的追求は引き続きの課題とされた。カントの平和論関係の研究のなかにも,若干の成果は結実した。第二に,「脳と心」をめぐる諸問題の討究は,ちょうど第16期日本学術会議特別委員会「脳の科学とこころの問題」での討議とも重なり,ある程度の見通しを得ることができた。第三に,現代の哲学的な人間学ないし人間論の課題は,結局,やや形を変えて,拙著『現代の思想的状況-歴史の哲学-』のなかに,一纏めにして,展開され,かなりの成果を挙げることができたと自負している。 既発表の研究成果に盛ることができなかった部分は,本年度の纏めになる「研究成果報告書」中に結実させる予定である。
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