研究課題/領域番号 |
05610017
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
今西 順吉 北海道大学, 文学部, 教授 (70000594)
|
研究分担者 |
沼田 一郎 北海道大学, 文学部, 助手 (20261258)
細田 典明 北海道大学, 文学部, 助教授 (00181503)
|
キーワード | ヨーガg / 禅定 / 瞑想 / ハガヴァド・ギーター / 弥勒 / 世親 / 法華経 / 仏身論 |
研究概要 |
本年度もヨーガg学派と仏教との比較研究を中心に進めた。ヨ-ガ学派のヨ-ガ・瞑想の思想体系が二元論に立脚しているのに対して、仏教の立場はそれほど単純ではない。仏教においても、狭義の二元論ではないけれども、広義には二元論と言えなくはない構図がある。すなわち、仏教は世俗を批判する点に特色があり、この場合の世俗は現象に対する人間の主体的関わり方を意味している。そして仏教が世俗を批判する思想の構図として、世俗に対比・対立されうるような、何等かのものを別に立てる場合には一応二元論に類似した構造をもつことになる。ところがその場合の二元論的構造はあくまでも主体に関する限りにおいてであることになる。この点は原子仏教以来のものであるけれども、弥勒及び世親の大乗仏教哲学を検討の結果、基本的には同じ構造であると言うことが出来る。 また以上の検討と並行して『バガヴァッド・ギーター』との比較研究も行った。それによって『ギーター』における神の思想構造上の位置を明確にすることが出来たが、そこに見られる思想構造は大乗経典のそれと極めて近いものを表してる。『法華経』と『ギーター』との関係に関する研究の一部はすでに発表したが、さらに思想構造論的比較研究を進めた結果、仏陀観・法身論や諸法実相論などの『法華経』の基本思想や『華厳経』の思想など、大乗経典の重要思想もこの研究方法の対象とすべきことが明確になった。 以上の研究の結果として、思想の構造論的比較研究がインド思想史上の諸思想の相互比較のために極めて有効な方法であると同時に、諸思想が相互にいかに関係しつつインド思想史を展開するに至ったかという問題についても明確な視点を提供するであろうという見通しをもつことが出来た。 以上の成果を踏まえて、平成7年度に本研究を一応取りまとめることとしたい。
|