研究課題/領域番号 |
05610027
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土屋 博 北海道大学, 文学部, 教授 (30000607)
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研究分担者 |
大道 敏子 北海道大学, 文学部, 助手 (30233266)
宇都宮 輝夫 北海道大学, 文学部, 助教授 (40109400)
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キーワード | 集合表象 / E.デュルケム / A.シュッツ / 教典 / 神話 / R.ブルトマン / 歴史 / P.アベラール |
研究概要 |
キリスト教の歴史を、さしあたり初期、中世、近・現代の三時代に区別したうえで、その時代に固有な文化をキリスト教のコンテキストにおいて整理、理解し、一つのキリスト教文化史を構築しようという本研究の試みは、本年度は主に中世、近・現代の領域で以下の様な成果を得た。 中世の領域では、12世紀ルネサンスと呼ばれる文化興隆に着目し、例えばアベラールとエロイーズの書簡を読み解く作業を通して、彼らが模索した信仰の内実を考察した。その際に、キリスト教の救済史の理解がどの様な変容を受けたかを初期キリスト教における終末論理解と合せて考察した(大道「歴史意識と宗教」)。 近世の領域では、主にフランス革命を中心に据えて、サン=シモン、コントなどの社会思想成立の背景やその問題点などを考察し、のちのデユルケムへと至る宗教社会学の根幹部分を考察した(宇都宮「社会思想と宗教」)。さらに、ウェーバー、シュッツらをも射程に入れて、近代合理主義と宗教の問題を集合表象という概念を基に分析・考察した(宇都宮「合理的思惟と宗教」)。 現代の領域では、とくにブルトマンを取り上げ、かつて彼が主張した新約聖書の宣教の非神話化が、現今盛んな神話研究の地平からはどのように評価できるかを検討した(土屋「R.ブルトマンにおける『非神話化』と現代の神話論」)。また、ケリュブグマ概念を彼の個人史に定位することによって、彼の「ケリュグマ神学」の内実に新しい解釈の可能性を模索した(土屋「ケリユグマとレトリック-R.ブルトマン再考-」)。
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