研究課題/領域番号 |
05610055
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
一谷 幸男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (80176289)
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研究分担者 |
岩崎 庸男 星薬科大学, 心理学系, 教授 (70092509)
古川 聡 星薬科大学, 講師 (70229110)
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キーワード | ビタミンE / 学習 / 記憶 / アセチルコリン / 電撃感受性 / ラット |
研究概要 |
ビタミンE(α-トコフェロール)の慢性欠乏が、記憶課題の1つである受動的回避学習の阻害をもたらすことから、前年度はこの学習障害の基盤となっている中枢神経系の変化について、脳内アセチルコリン神経系の生化学的な分析を行ったが、ビタミンE欠乏による顕著な変化は認められなかった。そこで本年度は、末梢神経系における変化の組織学的検索、および痛覚刺激(電撃)に対する感受性の閾値の行動的測定を行った。 ラットを用いて、生後4周令よりビタミンE欠乏食、添加食、または対照食で9か月令まで飼育を続け、これら3食餌群のラットの、足への電撃に対する反応を、電撃強度を変化させながら観察した。その結果、ビタミンE欠乏食群では、電撃に対する逃避反応が出現する閾値が有意に増大していた。ビタミンE添加食群では、対照食群と差は見られなかった。その後、これらの動物の脊髄神経節を取り出し組織学的観察を行ったところ、ビタミンE欠乏食群では、神経細胞の数には減少はなかったが、神経細胞を取り囲む衛星細胞の配置がかなり乱れていた。 従って、すでに我々が報告したビタミンE慢性欠乏ラットの受動的回避学習障害は、少なくとも部分的には、末梢神経系の機能異常による電撃感受性の低下にもとづくことが示唆された。
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