2人の開眼受術者ToMとKaMについて歩行活動ならびにそれを支える下位機能の形成実験を行った。 I.開眼受術者ToMについて (1)眼による“深みの知覚"が成立していないために、歩行の際、下がり階段の発見が困難であった。駅や公園において下り階段を発見するためにどのような手がかりを抽出するかについてデータを集積した。 (2)視方向に変えて同一対象を等距離に提示すると、その対応率は方向によつて同一ではなかった。実験日による変化の様子を追跡した。 (3)普段歩いている場所で視覚による遠方対象の把握が可能になると、その場所の構造把握に一定の変化が現れてくる。 (4)遠方対象を捉えるときの眼球運動をEOG法によって測定した。対象の提示距離を遠方にすると不随意的な眼球運動が現れてくる。 II.開眼受術者KaMについて (1)2つの対象の“遠近の知覚"は、対象の提示距離によってその知覚様相が変化する。 (2)歩行の際、場所によって視覚あるいは視覚のいずれかに依拠する。
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