研究概要 |
沖縄本島北部国頭村において,役場におけるインタビュー,資料収集を行い,また比地,奥間,与那,宇嘉,辺土,奥,安田,安波の各区を訪問し,区長,長老より家(ヤー),門中,ムラに関する聞き取りを行い,以下のような概況を把握した。 南部島尻郡と比べると,ヤーは門中のイデオロギー,規範がルーズでそれに制約される度合は弱いが,長男相続制度は認められる。各集落は空間的に孤立しているのでその結合度は相対的に強く,山林資源に恵まれて共有林があり,各種の共同作業,共同事業がよく行われている。 ヤーは,位牌,財産は長男による死後相続が基本であり,隠居制度はない。区費徴収法は人頭割を基本にしたとみられ,むらの義務単位は個人的性格が強い。門中は近代になって普及したので,位牌の継承に関して厳密な男系原理が必ずしも守られない。ムコ養子が許容されることもある。門中墓の普及もごく近年のことであり,以前はむら墓,よりあい墓がふつうだった。またごく最近はいえ墓も現れた。むらの共同財産としては共有林が存在し,また近代には共同店の経営や共同事業の実行などむらの集団的結合が強い。
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