平成5年度の研究は、関係する企業・自治体に対するヒヤリング調査により、現状の把握と資料の収集を行った。 まず、トヨタ自動車(株)については、愛知県豊田市の本社におけるヒヤリング調査を実施し、「トヨタ基本方針」に示された、同社の地域や環境に関する基本的なビヘイビアの把握に努めた。また、現地法人化されたトヨタ九州(株)についても、同様の聞き取り調査を実施した。 第2に、本研究の課題が企業進出による地域社会の変容にあることにかんがみ、愛知県のトヨタ工場が所在する自治体(愛知県・豊田市・刈谷市・三好町・田原町)に対するヒヤリング調査を実施し、その現状の把握に努めた。 第3に、トヨタ九州工場が立地した宮田町、隣接する若宮町・宗像市に対するヒヤリング調査を実施し、操業1年が経過した段階での地元の対応や新しい行政課題についてその把握に努めた。この他、昭和50年に日産自動車(株)九州工場が立地した苅田町についてもヒヤリング調査を実施し、企業と地域との関係の現状について把握に努めた。 こうした研究を通じて、研究代表者の安河内は福岡県(商工部企業立地課)の全面的な協力を得ることができ、福岡県・宮田町・若宮町・地域新興整備公団がつくる「地域づくり研究会」のなかで精力的な活動を行っている。また、研究分担者の古賀は、宮田町教育委員会の生涯学習アドバイザーを務めるなど、学術的な研究だけではなく、地域と密着した活動を進めているところである。
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