平成6年度は、主として福島大学夜間主コース(行政社会学部と経済学部)を対象として「社会人特別選抜」制度に関する調査を実施した。この調査によって得た知見を要約しておく。 (1)社会人学生の教育を主として担ってきた国立大学の夜間部が、「昼夜開講制の夜間主コース」として改組し、社会人を受け入れる動きが活発化しているが、この動きの背景には、企業や官庁などの土曜日をはじめとする休日の増加、フレックス・タイム制の導入など社会人にとって大学に通学できる環境が整ってきたこと、その逆機能として「夜間学部」の社会人学生の減少がある。 (2)社会人が夜間主コースで学ぶ動機は、「自分の将来の可能性をのばすため」や「現在の専門に更に役立つ知識をつけるため」など自己の可能性や自己啓発に関する項目が全体的に比率が高く、「将来の昇進のため」や「転職のため」など職業に関する項目は低い。 (3)もし、大学に特別選抜制度がなかったら「そのままあきらめていたと思う」が半数を占め、一方で「大学の通信教育で学んでいた」「大学の公開講座で学んでいた」「福島大学の夜間主コース(一般受験で)学んでいた」などの比率が高く、大学に対するニーズが高いのは、学歴取得が重要なファクターとなっているからである。 (4)大学教育に対する満足度は、肯定的な評価が6割、否定的な評価は4割であり、肯定は授業内容や教官の熱意をあげ、否定は制度的な問題をあげている。
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