社会人の学習要求に関する実証的研究として、大学の公開講座と大学の夜間主コースに学ぶ学生を対象にした調査を実施した。この調査によって得られた知見を要約しておく 【公開講座】 (1)上智大学の公開講座の受講生の7割が大学卒業者(短大卒を含め)であって、とくに大学卒業資格を目指すわけではなく、知的な関心によって講座を履修したり、仕事の場や日常の生活で必要な知識・教養を高めることを目的に履修している。 (2)受講生が上智大学の公開講座を学習の場として選んだ理由は、時間帯がよく、費用が妥当で、通学に便利だからであり、授業内容が充実しているからとか、講師に魅力を感じたからではない。 (3)しかし、実際に講座を受講しての満足度が高いのは、講師の専門性の高さと熱意である。この二つの要因が受講生の学習意欲を駆り立て、学習に対する効果を高めている。 【夜間主コース】 (1)社会人が夜間主コースで学ぶ動機は、「自分の将来の可能性をのばすため」や「現在の専門に更に役立つ知識をつけるため」など自己の可能性や自己啓発に関する項目が全体的に比率が高く、「将来の昇進のため」や「転職のため」など職業に関する項目は低い。 (2)もし、大学に特別選抜制度がなかったら「そのままあきらめていたと思う」が半数を占め、一方で「大学の通信教育で学んでいた」「大学の公開講座で学んでいた」「福島大学の夜間主コース(一般受験で)学んでいた」などの比率が高く、大学に対するニーズが高いのは、学歴取得が重要なファクターとなっているからである。 (3)大学教育に対する満足度は、肯定的な評価が6割、否定的な評価は4割であり、肯定は授業内容や教官の熱意をあげ、否定は制度的な問題をあげている。
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