ブラジルはかっての移民国から移民送りだし国へ変質している。ハイパー・インフレと失業が主因である。こうしたなかで逆移民現象が進行している。1990(平成2年)年6月1日に施工された新入管法で、日系2・3世並びにその家族の定住が認められたことで、日系人のリターンが急増した。 バブル経済崩壊後も、新規来日は絶えていない。これは、家族呼び寄せで、女性、子供などの来日が続いているからである。大泉町などでは、来住日系人の生活を支援する各種エスニック・ビジネスも設立されつつある。"ブラジル村"と呼ばれ、さながら、ブラジル商店街形成を思わせる。 群馬県大泉町の実態を中心に、不況下における最新の状況をとらえることができた。(1)職住分離、(2)大泉町への集中性、(3)長期化する大泉滞在傾向が認められる。これらの傾向は出稼ぎ期から定住へのシフトを示す重要なファクターである。今後、呼び寄せたい家族員として、両親をあげるものが多いことも定住傾向を示唆している。大泉の日系人の居住形態をみても、家族との同居が77%、典型的な「核家族」の形をみせている。このように、【.encircled1.】出稼ぎ期から定住期へのシフトに従い、【.encircled2.】労働力から生活者・住民への発想転換が求められ始めている。日系人の生活構造・意識に関する新潮流を列挙すると以下にまとめられる。【.encircled1.】多国籍化、【.encircled2.】広域化 【.encircled3.】集中化、【.encircled4.】多業種化、【.encircled5.】不安定就労層形成、【.encircled6.】集住化、【.encircled7.】在日日系コロニア形成、【.encircled8.】半定住化・定住化、【.encircled9.】使い分ける価値観、【.encircled1.】0日本人社会との交流の壁、【.encircled1.】1根強い「差別や偏見」、【.encircled1.】2各種生活基盤の未整備などが指摘される。 同時に実施した、フィリピン、イランなど他のアジア系の労働者と日系ブラジル人労働者との間には、職種、労働条件、地域生活などの諸面で差異が極めて大きいことが判明した。
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