本研究の目的は、日本都市の典型である「伝統消費型都市」に焦点をあて、「地域住民組織」と「地域住民自治」のあり方を明らかにすることで、日本都市の特質を明らかにすることにあった。 そこで本研究においては 1歴史学の成果をもとに近世、近代における日本都市のあり方とそこにおける地域住民組織と住民自治の特質を明らかにした。 2.次に、近代以降の日本社会における都市発展のあり方に検討をくわえ、「伝統消費型都市」と称される近世城下町都市が近代においても日本都市の典型として発展したことを示した。 3.さらに、本研究においては「伝統消費型都市」の特質を明らかにするため、a明治政府の力によって人工的に形成された札幌市、b江戸時代からの「地域住民組織」の歴史をもちその伝統のうえで今日も独特の地域住民自治活動を展開している金沢市、c金沢市と同様に近世城下町都市として形成されながらも近代にいたって工業都市としての発展を示した広島市を調査対象都市として選定し、各々の都市の都市形成過程と地域住民組織と住民自治の展開過程を明らかにした。 4.これに加えて、現在の地域住民組織と地域住民自治活動の実態を明らかにするために「地域住民組織」の組織や活動についての質問を主たる内容とする「町内会・自治会の都市間比較調査」票を作成し、各都市の町内会長を対象としてアンケート調査をおこない、各都市の地域住民組織と住民自治の特質を明らかにした。
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