農村地域に居住する高齢者が、地域社会に対して精神的自立の面からどういった考え方をしているのかを明らかにするため態度調査項目を作成した。調査項目は、これまでの研究から得られた知見に基づいて作成し、19項目で構成されている。調査は長野県豊科町および塩尻市において実施し、老人クラブの協力を得て対象者は老人クラブの会員とした。得られたデータの解析にあたっては、態度項目の分類と個人の分類を同時に行なうことの出来る林の数量化3類を用い、精神的自立の指向が多元的な構造をもち、多様な高齢者がいることを明らかにした。 構造化の結果、高齢者の中にある精神的自立の指向は2次元の構造で説明することが出来ることが明らかになった。ひとつは、地域活動に対してできるだけ関与していくかそれともあまり関与することはしないかという文脈であり、もうひとつは地域活動において様々な面から同調していこうという外部志向かある特定の人達あるいは場面に活動を限定しようという内部志向かという文脈である。この2つの文脈から8つの指向の類型(自立、協調、地域関与高、依存、外部志向、仲間うち、内部志向、地域関与低)を作成した。それぞれの類型に含まれる高齢者の分布に注目してみると、いずれかの類型に片寄るという傾向は見られず、高齢者の中には多様な精神的自立の指向があることが明らかになった。 分析の結果、高齢者を8つの類型にわけることが出来たが、高齢者の生き方としてどれが望ましいという考え方に立つべきではなく、それぞれの類型に対応した社会的施策が実行されなければならないと考えられる。その際、どういった施策が実行されるべきかを研究していくことが今後の残された課題である。
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