本年度は、 1.親・重度障害者およびボランティアから成る社会参加や自立援助のためのサポート・システムとしてのグループを構成し、身辺処理に加え、料理や買い物等の活動、それにともなう数量操作学習、文字学習、道具の操作学習、身体機能の学習、社会機構等の学習状況を設定した。 2.また、必要に応じ個別の学習を設定し、上記活動が円滑に進行するための個別学習援助を行なった。 3.以上のような実践からは、養護学校等を卒業した重度の障害児(者)は、作業所や施設での単調な生活を過ごすことが多く、彼等の社会適応に必要な数操作・時間概念・文字学習といった学習活動が一般に軽視される傾向がある現状が明らかとなった。 4.しかしながら、こうした実践の中からは、22歳で初めてひらがな文字を学習が可能となった事例や、時間概念の未成立により生活全体に著しく混乱をきたしていた事例など、卒業後も継続的に学習を必要としている事例が示された。 5.したがって、今後もこうした実践を通して、障害者にとっての生涯教育の必要性と学校教育に必要な条件は何かを明らかにしていきたいと考えている。
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