1.平成3年度及び4年度に行った、コンピューター利用によるペスタロッチの道徳・宗教教育思想形成史の研究を継続発展するかたちで平成5年度の研究を進めた。まず、ペスタロッチの書簡全集(全13巻)、及び、校訂版著作全集(全30巻)のテキストファイル化を完了した。検索用ソフトの活用で、自由自在に検索ならびに該当事項を含む数行の切り出し、編集等が可能となっている。今後のペスタロッチ思想研究の能率化にも大きく貢献することは間違いないと思われる。 2.上記の作業と並行して、ペスタロッチ研究の古典的文献の収集とその分析を行い、また上記データベースを利用して得た結果をもとに、課題であるペスタロッチの道徳教育論の総合的・構造的研究を進めてきた。現在、その成果を中心に、学位請求論文の作成にとりかかっている。その主な論点は以下の通りである。 1.ペスタロッチの人間観の分析(道徳・宗教教育思想の基底としての人間観の形成・変遷過程の解明) 2.ペスタロッチにおける道徳の問題(政治と道徳、法と性道徳、宗教と道徳の関係の解明) 3)ペスタロッチにおける宗教の問題(「心情」の宗教、この世の「ちりあくた」の秩序と実践的信仰、正統派信仰批判とラディカルな宗教観など) 4.ペスタロッチの道徳・宗教教育の原理と実践(「シュタンツ便り」、「ゲルトルート児童教育法」、「育児書簡」の分析、及び、ペスタロッチ学園における道徳・宗教教育の実践の解明) 5.ペスタロッチ教育論における道徳・宗教教育の位置
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