研究概要 |
当初の研究計画調書に記したとおり、近代イギリス家庭教育論史に関する以下のような作業を行い、その成果を得た。 (1)先行諸研究で言及された家庭教育論文献、ならびにBritish LibraryのShort Title Catalogueからピック・アップされた家庭教育論文献の、カード化・リスト作製をとりあえず完了した。とりわけ、18世紀以前に関してはその精度はかなり高いものだと考えられる。このリストにより、歴史的変化の大勢--たとえば、男の家庭教育論から母の家庭教育論へ、家庭教育論の自立など--が明白なものとなった。なお、18世紀についてはShort Title Catalogue(CD-ROM-Edition)を利用した。 (2)リストに挙がってきた文献の中から、特に典型的と考えられる文献に関して、分析を試みた。それは、著者名のみ列挙すれば以下のようである。Thomas Reynolds,William,Gouge,Thomas Tryon,Daniel Defore。このことによって、家庭教育論が産婆術書・家政書の中にどのような位置を占めていたか、また、家庭教育における母の役割がどのようなものであったか、などが鮮明となった。 (3)(1)(2)より得られた分析結果は、別途、報告書を作成した。 (4)また、特にThomas Tryon,A New Method of Educating Children,1695につては、(1)のリストより得られた“education"という言葉の用法に関する知見とともに、べつに特別に論文として発表した。
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