この研究は、大学、短大、専門学校などの中等後教育機関の新規卒業者がどのような社会的、制度的プロセスを経て就職しているのかを、日米の2カ国について比較検討することを目的とした。日本については、新規大卒者の就職および、就職にいたるプロセスを調べるために、昨年度に実施した、全国10大学の、経済、経営学系の4年生約1000人を対象とした質問紙調査結果の分析を行った。 分析の結果、いわゆる入試難易度によって、就職の時期、就職先企業規模、就職活動において、大きな違いがあることが判明した。また、出身階層が就職先企業規模に及ぼす影響についても検討を行ったが、親の大企業の管理職以上である場合に、子どもも大企業に入るチャンスが大きくなることがわかった。これらの結果については、日本教育社会学にて発表を行うと同時に、広島大学大学教育研究センターの高等教育叢書としてまとめた。 また、アメリカについては、日本と比較を行うために文献研究をもとに理論的な検討を行った。とくに、大学をはじめとする教育機関と企業との結びつきに関して、制度的ネットワーク理論を展開した。この結果については、アメリカの社会学関係のジャーナル(Research in Social Stratification and Mobility)に投稿し、1995年中に掲載されることが決まっている。
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