本研究は、1973年に公布されたノルトライン・ヴェストファーレン邦の政治教育の指導要領の普及のために計画された現職教育の構想を対象として、それらの現職教育において教師が習得する、1)指導要領の構造の理解、2)資質の学習目標への具体化の方法、3)授業計画資料にもとづく授業計画の方法、4)教材やメディアの選択方法、5)評価方法が、教師の授業実践(計画-実施-評価)のどの段階にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的としている。二年間の研究を通して次の点が明らかになった。 1.「追実施による現職教育構想」は、指導要領委員会が開発した授業計画資料の追実施によって、授業計画能力を育成しようとするものである。 2.「受け手の興味と関心を基礎とした現職教育構想」は、授業、指導要領、カリキュラム、授業評価、カリキュラム改訂における計画能力、具体化の能力、評価能力、分析能力を育成しようとするものである。 3.「受講者相互のコミュニケーションを基礎とした現職教育構想」の特徴は、は受講者が討論を始めるための具体的な質問カタログを開発されていることである。そのカタログは、教材の一般的特徴に関する質問、世界観、価値、システムなどの外部構造の諸関係に関する質問、カリキュラムの決定に関する質問、教授学の原理や学習過程などの内部構造に関する質問から構成されている。 4.現職教育は、政治教育の指導要領の普及と検証の機能を持つ。 5.現職教育が授業実践のどの段階に影響を与えているのかのさらなる究明のためには、授業計画、授業実践、授業評価に区分したアンケート調査を必要とする。
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