本研究では、現代アメリカの教育改革を批判的に検討するために、現行の学校制度、とくにハイスクールの構造的問題点を、社会的・教育的効果をめぐる諸問題に焦点を絞り、実証的に解明することを試みた。設定した研究課題は、(1)高校生活の組織的特性(カリキュラム、課程編成、ライフスタイル等)と教育的効果との関連にみられる不整合、(2)中等教育と高等教育の接続の問題(進路指導、高等教育機会の開放性等)、(3)中等・高等教育と労働市場との関連(失業、転職、学歴の効果等)の3つである。また実際の研究では、既存資料の文献研究に加えて、米国教育省の国立教育統計センター(NCES)が高校3年生を対象に実施した、次の2つの時系列的な全米規模のパネル調査の統計的再解析からえられた結果を、おもな資料として使用した。1つは「高校生将来調査」であり、もう1つは「NLS調査」である。 なお平成5年度〜平成6年度文部省科学研究費補助金研究成果報告書として、「現代アメリカ中等教育改革の批判的検討」を刊行した。この報告書の目次は1章アメリカ中等教育の歴史的展開、2章教育機会の平等をもとめて、3章アメリカの高校生の価値観、4章中等教育の多様化と文化接触、5章中等教育と高等教育の接続、6章大学生は変わったか、7章転機に立つアメリカの中等教育である。
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