本年度は、昨年度実施した地方教育事務所の類型別事例調査(事務所を設置する全国44都道府県を、その設置単位の在り方から、A.府県内地方別設置型、B.大分割型、C.本庁直轄を含む型の3つに類別し、Aについては京都府、大阪府、Bについては静岡県、Cについては岡山県、福井県を対照とした府県委員会-教育事務所-市町村委員会-小中学校に対する資料収集、面談調査、また事務所を設置しない県としては滋賀県を対象とした同様の調査)で得られた知見に基づいて、全国280地方教育事務所に対する質問紙調査の実施を主たる研究内容としている。本調査は189の回答(回答率67.5%)を得ることができたが、その分析から次のような結果を得ることができた。 (1)事務所は、戦前の地方事務所を継承して設置されかものが多いが、地方教育行政法の制定(1956)によって改組され(所管地域の再編)現在に至るケースが多い。 (2)事務所の規模は、所管地域の人口、学校数、教職員数によって当然に多様であるが、始動主事1人当たりの「規模」についても大きな差異がみられ、それは上記の設置類型に大きく規定されている。 (3)ほとんどの事務所で、人事行政と指導行政、指導行政における教育過程行政、教科書行政、研修行政等が有機的に関係づけられている。 (4)教育事務所は府県委員会の権限の範囲で事務執行しているが、その独自な判断、裁量が求められている。 (5)事務所の指導主事が最も直接的に学校現場の指導に当たっていることから、府県本庁、市町村委員会に対して指導主事の重点配置とその役割の明確化が必要とされている。
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