本研究は、(1)単一学校内で全教職員が具体的な学校経営活動の展開過程においてそれぞれどのような形態で関与しているのか【職務連携の実像】、(2)教職員が各々当該校の学校経営活動の展開過程を自己の意識の中でどのようにとらえているのか【職務連携の虚像】、について明らかにすることによって、学校経営活動の展開過程における教職員の職務連携の現実的構造を解明し、今後の学校経営実践の改善のための示唆を得ようとするものである。この目的を達成するために、今年度は以下のことを行った。 1.学校経営活動の展開事例を体系化した資料(「学校事務指導書」等)を有する都道府県・市町村のうち、広島市を対象地域として、その地域で学校規模等を勘案して対象校(公立小・中学校)を抽出した。 2.上記対象校への学校訪問調査によって、教職員(校長、教頭、主任、一般教員、事務職員等)が、当該校の学校経営活動の展開過程においてどのような形態で関与しているのか【職務連携の実像】を詳細に把握し、あわせて、教職員がそれぞれ当該校の学校経営活動の展開過程を自己の意識の中でどのようにとらえているのか【職務連携の虚像】を、明らかにした。 現在、調査結果の詳細な分析を行っているところであるが、全体的傾向として、各学校で学校経営組織の諸特性に基づきながら、構成員によって相互補完的・連携的職務遂行が行われていることがより明確となり、また、構成員の校務分掌組織上の位置等の違いによって、【職務連携の実像】に対する認識が大きく異なることが見出だされた。
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