本年度に入り、昨年度に引き続き左眼球運動に遺された後遺症の加療の継続を余儀なくされたが、資料収集を進め、並行して分析作業に入った。結果的に州レベルの資料に関しては不十分なままにとどまり、また分析作業に関しても作業の遅れは否めず、よって補助期間中には研究計画を達成するに十分な資料が入手できず、中間的な分析・検討にとどまらざるを得なかったといわねばならない。本件補助期間後も、得られた資料をもとに継続的に本件課題の研究を行い、研究目的を達成するよう努力する所存である。 連邦レベルでの分析では、ケースマネジメントがどのような経緯で障害児対策に採用され、どのような認識を得てきたかを明らかにしてきた。そしてケースマネージャの果たすべき機能からは教師がその任に就くことが適切な要素も窺われ、そのような場合も考慮して教育関連法において教員及び関連職員の養成のための援助が強化されたものと考察した。そして、深刻な障害児教育担当教員の不足が指摘される中で、ケースマネージャとして任命された場合当該教師は職責を全うし得るのかという点を、実践上の課題の一つとして指摘した。 また全米公共福祉教会(APWA)が1991年に実施した調査結果から、ケースマネージャの活動の障壁は、重いケースロード、職務内容の複雑さ、深刻な情報不足が挙げられると整理された。職務内容等に関する規則の決定権がどこに属するかも曖昧なままになっており、養成・研修に関して各領域の専門家は自己の領域の技術や責任を超えてはトレーニングを受けていないことも挙げられていた。 分析結果から現状ではソーシャルワーカーや看護婦がケースマネージャに任命されることが多いが、教師がその任に就く場合にどう対処し、調整が図られるのか、今後明らかにされるべき課題として指摘した。
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