教師の生徒指導能力に関して、学校現場で生起している各種の問題行動に対する教師の指導行動、指導意識の典型的なパターンにみられる特徴を把握する目的で、まず、教師の実践的な行動や意識に関する内外の著書、論文、資料の分析を進めた。とくに、授業中の諸場面と授業外の諸場面とで、教師の問題対処には差異が見いだされるのではないかという智見を見いだして、これを本研究の作業仮説として設定することができた。 つぎに、愛媛県の小・中学校の生徒指導主事の地位にある先生に面接調査をおこない、児童・生徒への問題対処へのパターンを聞き、その特徴を見いだそうとした。同時に、該当の先生の今までの実践報告を譲り受け、分析を試みている途中である。 さらに、以上の研究作業から得られた教師の問題対処の状況理解にもとづいて、愛媛県と香川県の小学校教師と中学校教師を調査対象にして(各県で小学校教師400名、中学校教師400名、合計1600名)、郵送法による調査研究を実施した。調査項目は教師の問題対処に年齢による差異が見いだされるという作業仮説が、教師の子供理解能力の内実の差異が年齢により生起するという仮説を設定し、作成している。とくに、授業の場面では、授業規律の形成過程に焦点を合わせ、授業外の場面では、日常的な秩序維持の方策の形成に焦点を合わせ、教師の生徒指導能力を学校種の差異をも考慮しながら、数量的な理解をめざして、現在調査実施中である。
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