旧制中学校に関する研究は、その制度や政策の解明が進展してきたことに比べ、教育や生徒指導の実態を明らかにする研究は、量的にいっても未だ充分なものとはなっていない。こうした把握に立って、本研究は生徒懲戒や生徒管理に関する基本史料を発掘し、それを分析することを課題とした。 そのため、旧制中学校を前身とする各地の高等学校に保持されている「校内保存表簿」の所蔵状況に関する全国調査を行い、それを分類し、かつデータ・ベース化するとともに、それぞれの史料の解題の作業を含め、史料論的位置づけを実証的に行うことを目的とした。 具体的な研究・調査を以下のように行った。 1)明治期に創設された旧制中学校を前身とする全国の高校317校を対象とし、保存されている表簿の名称や種類について、アンケートによる全国調査を行う。 2)学校史編纂の過程等において、史料目録が作成されている高校については、その寄贈を依頼する。 3)以上のアンケート、および史料目録を検討し、史料の名称、種類等についての分類、生理を行う。 その結果、317校への回答依頼のうち、176校、約55・5%の回収成果を得ることができ、第一次的な分析を行った。
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