平成5年度に注目したところの海外アメリカ人学校の特徴として、1.自然発生的な発展、2.海外アメリカ人学校相互の組織化、コミュニケーションの充実、3.対外政策との関連、4.中南米は海外アメリカ人学校の現地化が最も進んでおり、現地の名門校として根付いていることが少なくないこと、などの点について平成6年度は、それらの特徴を支える仕組を探ることが作業の中心となった。 まず、その発生であるが、中南米最古のアメリカ人学校(在メキシコ)の例でみると、アメリカ人コミュニティーの成長と軌を一にして拡大する中で、各国人子弟を包含しその支持を得ていたことが注目される。自立の精神に基づき、各個人の幸福を相互に尊重する教育のあり方が支持をよんだと考えられる。学校相互の関係は、相互の蓄積を持ち寄る場が作られており、教材研究センターが存在するなど組織化が充実している他、認可団体などを通してアメリカ本国との関係も深いことが多い。 対外政策との関連はむしろ援助・留学生政策が緊密に関連しているようだ。中南米での現地化については、各学校によりケースが異なることがわかった。いずれも英語を主たる教授用語としながら公認の学校としてのステイタスを有するが、その方法・形態は多様である。共通の組織をもちながらも、外国人コースとホストカントリー市民とを分け、内部に二つの学校が併存するようなケース、現地カリキュラムをオプションとし、全員がアメリカカリキュラムを履修するケース、またはホストカントリーかアメリカかどちらかのカリキュラムを選択するケース、その他の場合など、多様である。学校の歴史的発展の仕方と、原則として学校の自助努力を中心に、それに若干の援助を行うという政府の政策とが現在のあり方を形作ってきたものと考えられる。 また、研究の過程で、留学生交流と教育援助もまた米国の国際教育・文化政策分野において大きな重要性を持っていることが一層明らかになった。これらは民間団体の他、国際開発庁や、米国に本拠を置く国際機関を通じて、様々な形で中南米諸国に浸透している。先の課題と合せ、その点を追究することを今後の課題としたい。
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