日本の都市における、民俗的感覚の問題を考える目的で、九州の人吉や東北地方の各都市などをとり上げ、河原のマチ場のあり方を民俗誌的に記述しようとする試みで、調査を行なった。 東北地方の各城下町24ヶ所について調査をした結果、ア-バンフリンジの展開、城下町の拡張のなかで、カワラの場が有意味を持っていたが、西日本にみられるような厳しい差別は仙台を除いてなかった。 つまり、仙台程度の複合経済を前提にして、はじめて「差別」のシステム化された文化が発見できるのである。 従って、川崎市、神戸市など、近代都市におけるカワラが近代化のプロセスのなかで、スラム、近代部落、沖縄奄美、韓国人エスニシティーが被差別を内包して、形成されたことがわかった。
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