西日本地域について、実用面に関する史料を追求し発掘することにつとめた。 〔平成 年度〕京都・大坂と連結密度の高い瀬戸内海諸地域を主対象とした。 兵庫県では、蘭語・素封家・種痘医を、岡山県では、藩校教師・水利灌漑施設開削指導者を、広島県では、厳島神社宮司=典籍収集家を、山口県では、藩医・蘭方種痘医を選んだ。 香川県では、蘭語・医籍収集家を、愛媛県では、蘭方医・語学者を、高知県では、植物学者を、徳島県では、藍染業家を選んだ。 〔平成 年度〕瀬戸内海航運を介して、特に大坂と直結する九州地域を主対象とした。 福岡県では、藩医・種痘開創医・解剖医を、佐賀県では、藩医・種痘医・御用薬種業・収書家を、大分県では、大名貸豪商・藩校収書・蘭訳者・科学思想家・天文家・藩医・解剖医を、熊本県では、藩政文書・藩主博物学家を、宮崎県では、藩主中国理数番飛案家を選んだ。 〔必要に應じて、細川青山文庫・早稲田大学洋学文庫・順天堂大学医史学教室の史料を援用した。〕 以上の調査は未だ進行中であるが、以下の様に要約が可能と思考している。 ○関係者:個人・同族共同者。○身分:武士・庶民。○内容区分:医薬本草学・数学・理学・土木学・博物学・外国語など。○系統:儒学系実学型・洋学係実学型。○進学傾向:第1次指向を京坂に、第2次指向を江戸あるいは長崎とする。
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