研究概要 |
1.湖東地域については,平成6年7月末〜8月初旬に,前年度調査に引き続き蒲生郡竜王町川上光明寺絵系図記載地名の内,近江八幡市・永源寺町の仏光寺派寺院調査を行なった。現在光明寺との関係は希薄であるが,由緒書・太子・七高僧絵像の奥書及び住職系図等から,江戸初期に寺院化したことが確認された。また,前年度と同様に各寺院で門徒分布・葬制・墓制・行事等の聞き取り調査を行なったが,近江八幡市では13カ村で宗派に関係なく仏光寺派阿弥陀絵像を所蔵し,現在も毎月順番に法会を営み,比牟礼八幡祭礼には神前で念仏する習俗(十三仏と称している)の存在が確認された。 2.湖北地域は平成6年9月中旬に前年度の未撮影絵系図約5,000点の調査・撮影を行なった。永正5年が最も古いと考えていたが,今回の調査により,文亀年間にさかのぼることが確認された。前年度絵系図との照合により,全貌を復元できるものと思われる。光源寺絵系図は,他の絵系図に比して各時代にわたり,数量も豊富であり,中・近世における湖北村落・家族と信仰形態を解明するうえで,もっとも重要であると思われる資料であり,現在解読・整理を急いでいる。 尚,湖東・湖北地域の絵系図関連の未調査寺院は,出来得るかぎり次年度中に調査を完了したいと考えている。
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