(1)春秋時代〜後漢時代の、近年の考古学上の出士史料の蒐集と検討。特に青銅器とその銘文、木・竹簡、瓦当、画像石に重点をおいた。 (2)上記のうち、特に江陵張家山出士の漢律が『文物』に発表されはじめたので、難解であるがこれを他の研究者とともに読み進めた。 (3)侯外〓『中国古代社会史論』の邦訳をすすめた。この書は中国古代国家の形成と共同体との関係を、実証的にも理論的にも微密に研究した近年の大作であり、中国では古典的著作として評価が高いが、日本では大変難解な書として翻訳が敬遠されていた。私は、数年前から若い友人とともに本書の翻訳をはじめたが、本年未〜来年初に上冊を刊行の予定で、今年度は引用史料、訳語の細部にわたる検討と、著者が依っているマルクス主義の諸概念の再検討をおこなった。 (4)昨年秋、中国太原市で開かれた「侯外〓生誕90周年学術討論会」に参加し、「侯外〓の『中国古代社会史論』の意義」と題して報告し、中国の思想史家・古代史家と学術交流した。
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