本研究の第二年度として、侯外廬『中国古代社会史論』(北京・人民出版社刊)のくわしい検討と、その和訳原稿の作成に費やした。 (1)同書を和訳出版すべく、他の二人の研究者(岡田功、飯尾秀幸)とともに同書に引用される諸文献の検討、主要な用語の概念の検討、同書で参照されている諸研究の検討を行った。翻訳原稿は完成し、現在印刷に付されている(本年夏、名著刊行会より出版予定) (2)同書のもつ中国古代史上の学説史的意義、現時点においての不十分な点、問題点をまとめ「侯外廬『中国古代社会史論』の意義について」(『堀敏一先生古稀記念・中国古代の国家と民衆』〈汲古書院刊〉所収)として発表した。 (3)同書における中国古代都市国家論と、共同体との関係について、私見をまとめた「侯外廬の都市国家論をめぐって」(日中比較都市研究会編『中国古代都市の研究』〈汲古書院刊予定〉)を執筆し、近く発行の予定である。 その他、近年の中国における考古学上の発掘成果から、集落・都市に関するものを集め、現在整理中である。
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