平成5年度は、山形県尾花沢市袖原3遺跡の調査を実施した。調査期間は、4月28日から5月9日までの12日間である。約10万年前の三瓶木次火山灰の下約20cmの第10層から第12層の上面まで、合計32点の石器が出土した。調査成果としては、以下の通りである。 (1)山形県で最古の旧石器を発見した。 (2)石材として使われている頁岩の原産地で前期旧石器を発見した。 (3)この結果、石材の利用可能度がどのように石器製作や石器の利用に影響を与えているかについて、解明する手掛かりを得ることができた。 (4)現在までのところ、石材原産地にふさわしい大型の石器と共に、頁岩製の比較的小型の石器も共伴していること。石器製作の痕跡が見られないことなで、頁岩石材の少ない宮城県のめのうや碧玉を使った小型石器群に共通する要素がある。ただし、より古い石器群の検出と比較が必要である。 (5)両面加工の石箆に類似する形態の石器が2点あり、いわゆるハンド・アックスとの関連やこれまで打製石斧と呼ばれる石器群との関連が課題となる。 (6)断面抜き取りにより、更に下位の層から石器を採取した。
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