1.異時代の資料の補強 過年度の資料との時代差のある資料を補強する為に、日本の字体資料として正倉院文書大宝戸籍帳(マイクロフィルム拡大焼き付け)、中国の字体規範資料として南宋版本(新規撮影)を用い、「異体」関係にある字を選び出して、字体整理を行った。 2.SGML規格とその応用の調査 字体の交換形式として、SGML(ISO 8879/JIS X4151)規格を採用する為に、規格の仕様の検討を行った。この結果、SGMLには下記の様な欠陥がある事が判明した。 ・スコープ(名前空間)を欠く。この為、一項目内に限って変数を定義する事などが出来ず、異体字グループ間での変数共有などが実質的に不可能である。 ・国際符号化に従わない。文字符号に就て踏込みすぎた記述をしている為に、文字符号の国際コード系(Universal Character Set)を適用する事が出来ない。これは本研究の様な多文字集合を扱う場合には致命的である。 ・関数構造が無い。この為複数異体グループ間での、異体関係の抽象的共有が出来ない。 この為、字体交換形式として用いる為には、SGMLを下位ルーチンとして呼出す上位仕様を作成するか、全く新たな交換形式を策定するしかないという結論に達した。 この問題に就ては、今後更に実験・検討を重ねる予定である。
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